私立大・短大:2019年AO入試・公募推薦の出願条件の設定状況
◆私立大・短大:2019AO入試の出願条件の設定状況
弊社では例年AO入試に関する出願条件を1成績基準、2取得資格・活動実績の2区分で統計を取り続けている。
<成績基準>
■私立大
2019年度の場合、成績基準を必須条件とするケースが104校18.7%で、前年の93校から11校増加して、2011年度の実施要項改訂以降、増加傾向をたどり続けている。ただし、高基準の設定は少ない。複数条件の1つとしているケースは9校でほぼ前年並み。成績基準を設けないケースは、前年の80.9%から79.7%へ若干減少した。
■私立短大
成績基準を必須条件としているのは全体のうちわずか24校前年26校、複数条件の1つとして設定しているのは4校のみで、両方を合わせても10.4%にすぎない。私立短大最大の重視項目は「入学熱意」といっても過言ではない。
<取得資格・活動実績>
■私立大
2019年度の場合、必須条件としているのは145校22.7%と多い前年度は133校‐21.4%。さらに複数条件の1つとして設定しているケースも98校15.3%にのぼり、両方を合せる38.0%で全体の約4割近くを占めるまでになっている。この資格・活動実績重視の設定状況はAO発足以来、着実に鮮明化しており、AO入試の大きな特徴となっている。
■私立短大
活動実績・取得資格を必須条件としているケースは、わずか30校10.7%どまりだが、前年度と比べるとかなり増加している。複数条件の1つとして設定しているケース20校9.3%を加えると56校20.0%で、4大と比べてかなり差異はあるものの、この増加ぶりは注目すべきだろう。AO発足以来、このハードルの低さはほとんど変化しておらず、私立短大でAO入学率が2割余を占める大きな要因といえよう。
◆私立大:2019AO入試の地区別出願条件設定の概要
2019全国版「AO入試年鑑」で成績基準、取得資格・活動実績に関する地区別統計がまとまったのでご紹介する入試区分・学部等で異なる場合は複数扱いで集計。
地区 |
必須条件 |
複数条件の1つ |
設けない |
北海道・東北 |
5校(10.9%) |
1校(2.2%) |
40校(86.9%) |
関東 |
36校(17.2%) |
4校(1.9%) |
169校(80.9%) |
中部 |
17校(19.5%) |
0 |
70校(80.5%) |
近畿 |
31校(25.4%) |
2校(1.6%) |
89校(73.0%) |
中国・四国 |
6校(14.6%) |
0 |
35校(85.4%) |
九州 |
9校(18.0%) |
2校(4.0%) |
39校(78.0%) |
上記の一覧表に示す通り、必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区。その他の地区はいずれも10%台で、推薦入試と比べて成績基準のハードルはきわめて低い。
地区 |
必須条件 |
複数条件の1つ |
設けない |
北海道・東北 |
5校(11.1%) |
12校(26.7%) |
28校(62.2%) |
関東 |
68校(26.6%) |
38校(14.8%) |
150校(58.6%) |
中部 |
13校(14.8%) |
7校(7.9%) |
68校(77.3%) |
近畿 |
37校(25.2%) |
21校(14.3%) |
89校(60.5%) |
中国・四国 |
7校(16.3%) |
4校(9.3%) |
32校(74.4%) |
九州 |
15校(24.6%) |
16校(26.2%) |
30校(49.2%) |
必須条件としての設定率が高いのは関東、近畿、九州の3地区。複数条件の1つとして設定率が高いのは、北海道・東北、九州の2地区だろう。また、九州地区は「設けない」ケースが50%を下回っている点も注目される。
推薦入試情報 ◆2019年度公募制推薦入試の実施状況が判明
現在、弊社では9月初旬発行予定の全国版「推薦入学年鑑」の制作に全力を注いでいるが、このほど全ての大学・短大の推薦実施状況が判明したので、速報でご紹介する。
募集校 |
公募実施校 |
指定校のみ |
公募実施率 |
実施せず |
|
国立大 |
82校 |
77校 |
0校 |
93.9% |
5校 |
公立大 |
90校 |
88校 |
0校 |
97.8% |
2校 |
私立大 |
582校 |
556校 |
23校 |
95.5% |
3校 |
公立短大 |
13校 |
13校 |
0校 |
100% |
0校 |
私立短大 |
296校 |
290校 |
6校 |
98.0% |
0校 |
募集停止は私立大0校、私立短大5校が判明しており、2019年度の学生募集校は上記のとおりとなっている。
国立大では、新規導入校はなく、前年と同じ77校。今年度も実施しないのは北海道大、弘前大、東北大、東京芸術大、京都工芸繊維大の5校となっている。
公立大は、3校が新たに加わる。推薦入試を実施しないのは、京都市立芸術大と九州歯科大である
私立大の学生募集校は、2校増加して582校。公募実施校は前年と同じ556校。公募の新規導入校は2校。完全指定校制は前年より2校増え23校だが、関東地区だけで22校うち東京都が16校を占める。公募・指定校制とも実施しないのは、東京慈恵会医科大、日本医科大、立命館アジア太平洋大の3校である。
公立短大は13校全てで実施。私立短大は募集停止が5校で、学生募集校数は296校と前年より4校減。その98.0%に当たる290校で公募制を実施する。完全指定校制は北海道武蔵女子短大、宇都宮文星短大、城西短大、鶴川女子短大、明倫短大、今治明徳短大の計6校。公募・指定校制とも実施しない短大は今年度は皆無となっている。
◆私立大:2019地区別公募推薦実施校と完全指定校制一覧
弊社の全国版「推薦入学年鑑」で実施した2019年度の実施状況等の調査から、地区別の実施状況および完全指定校制の私立大・短大をレポートしておこう。
実施校数 |
|||||
国立大 |
公立大 |
私立大 |
公立短大 |
私立短大 |
|
北海道・東北 |
11校 |
16校 |
58校 |
4校 |
36校 |
関東 |
18校 |
10校 |
189校 |
1校 |
80校 |
中部 |
15校 |
23校 |
89校 |
3校 |
53校 |
近畿 |
12校 |
13校 |
124校 |
1校 |
58校 |
中国・四国 |
10校 |
15校 |
43校 |
2校 |
27校 |
九州 |
11校 |
11校 |
53校 |
2校 |
36校 |
計 |
77校 |
88校 |
556校 |
13校 |
290校 |
私立大の場合、やはり関東地区が群を抜き、次いで近畿・中部地区の大都市圏に集中するが、その他の地区もほぼ全てが公募推薦を実施している。
私立短大の場合、大都市圏で短大数が減少しているのが特徴4大に吸収などで、各地区の実施状況は4大ほど差がない点が注目される。
次に完全指定校制で実施するのは、自治医科大、文星芸術大、城西大、秀明大、嘉悦大、国学院大、国際基督教大、駒澤大、白百合女子大、成蹊大、成城大、聖心女子大、東京工科大、東京女子大、東京神学大、東京造形大、武蔵大、武蔵野音楽大、明治学院大、立教大、関東学院大、洗足学園音楽大、南山大の23校で前年より2校増えている。また、北海道・東北、近畿、中四国、九州の4地区に完全指定校制が皆無なのも注目される。
平成31年度開設予定の大学の学部等の設置届出(30年4月分)
例年なら早くに公表される4月分の設置届出が7月に入ってようやく公表された。その届出一覧を速報でご紹介するが、例年に比べるとかなり少ないのが特徴。
[1]大学の学部の設置(17校)
<公立>
■横浜市立大
国際教養学部=国際教養学科270(国際総合科学部は募集停止)、国際商学部=国際商学科260、理学部=理学科120
■兵庫県立大
国際商経学部=国際商経学科360(経済学部、経営学部は募集停止)
<私立>
■尚絅学院大
人文社会学群=人文社会学類200、心理・教育学群=心理学類60・子ども学類80・学校教育学類40、健康栄養学群=健康栄養学類80(総合人間科学部は募集停止)
■東北生活文化大
美術学部=美術表現学科50(生活美術学科は募集停止)
■中央大
国際経営学部=国際経営学科300
■武蔵野大
データサイエンス学部=データサイエンス学科70(経済学部は募集停止)
■武蔵野美術大
造形構想学部=クリエイティブイノベーション学科76、映像学科76(造形学部映像学科は募集停止)
■名古屋外国語大
世界教養学部=世界教養学科100、国際日本学科60(外国語学部の英語教育・日本語・世界教養の3学科は募集停止)
■藤田保健衛生大(藤田医科大学へ名称変更予定)
保健衛生学部=看護学科135、リハビリテーション学科理学療法専攻70・作業療法専攻45(医療科学部は募集停止)
■京都産業大
生命科学部=先端生命科学科100、産業生命科学科50、国際関係学部=国際関係学科200(外国語学部国際関係学科、総合生命科学部は募集停止)
■大阪経済法科大
経営学部=経営学科200(経済学部経営学科は募集停止)
■関西国際大
経営学部=経営学科100、国際コミュニケーション学部=国際コミュニケーション学科50(人間科学部経営学科、教育学部英語コミュニケーション学科は募集停止)
■神戸松蔭女子学院大
教育学部=教育学科120(人間科学部子ども発達学科、文学部総合文芸学科は募集停止)
■帝塚山大
教育学部=こども教育学科100(現代生活学部こども学科は募集停止)
■川崎医療福祉大
リハビリテーション学部=理学療法学科60、作業療法学科60、言語聴覚療法学科60、視能療法学科40、保健看護学部=保健看護学科120(医療福祉学部・医療技術学部の各該当学科・専攻は募集停止)
■広島経済大
メディアビジネス学部=ビジネス情報学科80、メディアビジネス学科60、経営学部=経営学科310、スポーツ経営学科70(経済学部は募集停止)
■広島文教女子大(広島文教大学へ名称変更予定)
教育学部=教育学科初等教育専攻120・中等教育専攻30(人間科学部初等教育学科は募集停止)
[2]短期大学の学科設置(1校)
■華頂短大
総合文化学科80(歴史学科は募集停止)
[3]大学の学科設置(10校)
■津田塾大
学芸学部=多文化・国際協力学科70
■専修大
経営学部=ビジネスデザイン学科180、文学部=ジャーナリズム学科124(人文・ジャーナリズム学科は募集停止)
■東京工芸大
工学部=工学科400(現行の5学科は募集停止)
■愛知産業大
造形学部=スマートデザイン学科70(デザイン学科は募集停止)
■藤田保健衛生大
医療科学部=医療検査学科140
■鈴鹿医療科学大
保健衛生学部=リハビリテーション学科理学療法学専攻40・作業療法学専攻40(理学療法学科は募集停止)
■長浜バイオ大
バイオサイエンス学部=メディカルバイオサイエンス学科70(コンピューバイオタサイエンス学科は募集停止)
■京都産業大
経営学部=マネジメント学科670(現行の3学科は募集停止)
■京都女子大
発達教育学部=心理学科55(家政学部生活福祉学科は募集停止)
■桃山学院大
経営学部=ビジネスデザイン学科70